インプレッサと言えば、長い歴史を持つモデル。
かつては走り屋も愛用した車です。
しかしWRXとインプレッサに名前が分かれてからというもの、走りの追求はWRXにお任せ(割と最近までWRXの正式名はインプレッサWRXでした)。
インプレッサはすっかりファミリーモデルと化したイメージがあります。
そんな今のインプレッサは加速性がいまいちという話を聞きますがそれは本当なのでしょうか?
インプレッサスポーツの加速性を示すデータ
実際に時速0㎞から100kmまで速度を上げるまでのどれだけの時間がかかるかのデータがあるようです。
それによると、インプレッサスポーツは10秒ほど。
これは普通の車よりちょっといいかな程度だそうです。
しかし速いかどうかは微妙なところ。
普段の使用のは十分すぎる加速力ではありますが、加速力に楽しみを見出すようなドライバーは不満かもしれません。
高速道路に突入するときとか。
個人的には1300kgを超える重量でこれだけ出るなら十分だとは思うのですが…。
WRXなどは、燃費を完全に無視して加速性や走行性能にスペックを全振りしているので、一般的な販売としてはこれで正解なのかもしれません。
インプレッサスポーツの加速性がイマイチなのはなぜか
まずは当然、エンジンの問題があるでしょう。
現在のインプレッサスポーツのエンジンは1.6Lエンジンと2.0L直噴エンジンを使用しています。
直噴エンジンの採用は5代目からだそうです。
1.6Lモデルに使用されているのはFB20型で、これは第3世代にあたるエンジンです。
発表されたのは2010年で、以降改良されることで軽量、高剛性、レアメタル比率の削減による低コスト化がすすめられてきました。
2.0Lモデルに搭載されているのはFB25型でこちらは直噴エンジン。
これらの発表は同時期で、兄弟にあたるエンジンです。
1.6Lより大きい排気量でトルクアップし、と直噴化によるノッキング抑制が燃費を向上させています。
これはこれで先代から大きく進化しているのですが、出力面で言えば普通のエンジンとなっています。
数値的には1.6Lが148N・m(15.1kgf・m)/3600rpm、2.0Lは196N・m(20.0kgf・m)/4000rpmです。
搭載モデルの価格を比べると、1.6i-L EyeSightは1,944,000円、2.0i-L EyeSightは2,181,600円、2.0i-S EyeSight2,397,600円です。
いずれも2WD、税込みです。
最上級グレードは装備も充実しているので仕方ない価格ではありますが、1.6i-Lと2.0i-Lの価格差はほぼエンジンとホイールの差と見ていいでしょう。
そう考えると1.6Lと2.0Lのエンジンの違いによるコストの差はそう大きくはないと言えます。
これを他のモデルと比較してみます。
同じスバルから出ているジャスティはコンパクトながら140[14.3]/2,400-4,000を実現しています。
インプレッサスポーツの1.6Lモデルはコンパクトカークラスでも可能なパワーなのです。
しかも燃費はジャスティの方がいいのです。
ホンダのC-RVも191N・m(19.5kgf/m)/4,300rpmと、近い数値です。
価格は400万円を超えます。
つまりインプレッサがより加速性のあるエンジンを積めば、SUV人気にも打ち勝てるのではなかろうかとも思います。
いずれもパワーから選んでいるのですが、いわゆるどのモデルも普通に積んでいるエンジン。
同等サイズでももっと出力のあるエンジンを搭載しているモデルはたくさんあります。
シビックハッチバックはCVTで220N・m[22.4kgf・m]/1,700-5,500rpm。
しかしこのクラスになってくると価格も300万越えが普通で、実燃費は10km/L以下も多いのが事実。
当然一部のコアなファンが乗るようなモデルも多く、ファミリーユースとはとても言えません。
しかし別にそこまでのガチモデル化をインプレッサに求めているのではなくて…。
何が言いたいかというと、上級モデルにはXVにラインアップされているようなe-BOXERエンジン等を載せてもいいのではないかと思うのです。
インプレッサスポーツのスペックならば、JC08モードで20km/Lは手堅く超えるでしょう。
過去に発売されたインプレッサハイブリッドはそうでした。
またはターボ化。
レヴォーグのようなFA20型のエンジンの搭載です。
これはファンも待ち望んでいるのですが、なかなか実現されません。
スバルはインプレッサスポーツを普段使いモデルと割り切っているのか価格を優先しているように思えます。
せめて上級グレードくらいには…とおもうのですが…。
250N・m(25.5kgf・m)/1800-4800rpm以上のパワーはとても魅力的ですよね。
普通の加速力なのになぜ「悪い」のか
実はインプレッサの加速性やトルクはそこまで悪くありません。
SUVでもインプレッサと同じくらいの馬力のエンジンは普通に搭載しています。
ではなぜインプレッサスポーツの加速性が悪いと言われるのか。
それはスポーツの名を冠しているからでしょう。
スポーツと名乗っているのだからスポーツカーなんだろ、と思っている人も多いはずです。
実際はワゴンなのですが…。
そのせいでもっとスポーツカー的な走行性能をよこせという声があるのです。
また、CVTである点も加速が悪くなっている要因のようです。
スバルのCVTは制御が甘い面があります。
アクセル操作もコンピューターが制御するため、違和感のある発進になってしまったりするようです。
踏み込んで一気に加速したくても出だしがふわついて、踏み込みとの差異を感じてしまうなど…。
またCVT自体がその構造上、常にエンジンパワーを消費してプーリーを締め付けているため、一部のパワーを足回りに回せません。
パワーのロスがマニュアルやオートマに比べて大きいのです。
ですから、先代には存在したMTモデルの追加をもとめる声が少なからずあります。
しかしそういう声は明らかにMTが普通の世代のものなので、先のことを考えると追加したくないというのがスバルの実情ではないでしょうか。
加速性以外はピカイチ?
そもそも加速性もそんなに悪くはないのですが、他の要素、特にコーナリングに関しては光るものがあります。
車体のは幅があるのですが、最小回転半径は5.3mと、コンパクトな領域を維持しつつ、進化を遂げています。
2.0i-S EyeSightはアクティブトルクベクタリングを搭載しており、コーナリング性能を引き上げています。
ブレーキ性能や操舵性も評価が高いです。
唯一完全に弱点となっているのは燃費ですが、以外と燃費は二の次というドライバーもいることからそこまで重視されていないのではないでしょうか。
ここ数年の車に進化は目覚ましく、16km/Lくらいの燃費でもいいという人はけっこういます。
忘れてはいけないのが、アイサイトの存在。
いざというときにはたよりになりますね。
業界初という、追突した被害者用のエアバッグという発想もすばらしいと思います。
今のところクルーズコントロールや、衝突防止機能など必要とされる機能は全て揃っている感じです。
むしろこのくらいで十分と言えます。
機能が増えすぎても使いこなせませんし。
本当にあとは燃費と加速性が合わされば、文句がないレベルまで来ているのではないでしょうか、インプレッサスポーツは…。
この記事は以下のサイトを参考にさせていただきました。